令和4年度新潟県高等学校駅伝競走大会兼全国高等学校駅伝競走大会新潟県予選会(男子)に関しての抗議につきまして(総括)
令和4年度新潟県高等学校駅伝競走大会兼全国高等学校駅伝競走大会新潟県予選会(男子)に関しての抗議につきまして(総括)
学校法人中越学園 中越高等学校
校 長 萩野 俊哉
陸上競技部監督 渡辺 裕人
1.これまでの経緯
10月28日
新潟県高等学校駅伝競走大会兼全国高等学校駅伝競走大会新潟県予選会(男子)開催。
10月31日付
新潟県高等学校体育連盟会長様、同陸上競技専門部長様、同専門部委員長様宛に、上記県予選会にて、不適切な先導車の動きがあったこと、一貫性のない誘導・声かけがあったこと、本校だけでなくコース間違いが複数校にあったこと、また問題を把握しながら役員、顧問を招集し説明を行わず大会を成立させたこと等の問題があったとして抗議文を発出。
11月7日
新潟県高体連陸上競技専門部長様および専門部委員長様が本校を来校し、説明および回答を受け、回答書を受領。その回答書の「抗議内容に対する結論」は「抗議内容は受け付けず、本レース成立し結果確定しているものとする。」であった。調査には不十分な点があり、同日、本校から再調査と救済措置を要望した。
11月8日付
文部科学大臣様、スポーツ庁長官様、全国高等学校体育連盟会長様、日本陸上競技連盟会長様宛に本校の救済を願い出る嘆願書を提出。
11月15日
嘆願書に対する回答を受領。「大会運営等については関与できるものではない。」、「当該競技会の結果の決定は、同競技会の主催者に委ねられている。」との回答であった。
同日
新潟県高等学校体育連盟会長様、同理事長様、同陸上競技専門部長様、同委員長様来校。再調査の結果と回答を口頭にて伝えられる。標記大会は適切に運営されており、11月7日の回答書の「抗議内容に対する結論」に変更はないとの内容であった。
11月20日
北信越高校駅伝競走大会開催。
11月24日
本校の調査結果による県高体連陸上競技専門部調査内容との相違について説明したい為、県高体連様へ訪問許可の依頼文書を発出。
11月25日
本校の調査結果の説明をしたい為、全国高体連様、日本陸連様へ訪問許可の依頼文書を発出。
12月2日
新潟県高体連様訪問。本校の調査結果を説明させていただき、事実確認を要望。競技結果の成立については争わないが、事実の相違について会長からの見解と対応を要望した。
12月6日
事実確認に係る12月2日の本校からの要望を受けた県高体連事務局様からの回答を受領。回答は「貴校調査結果については、陸上競技専門部へ伝えました。来年度に向け、工夫・改善に努めるよう指示いたしました。」という内容であった。
12月7日
上京し、全国高体連様、日本陸連様を訪問。本校の調査結果を説明した。11月15日の回答と同じく「大会運営等については関与できるものではない。」、「当該競技会の結果の決定は、同競技会の主催者に委ねられている。」とする一方、「しかし競技会のあり方として、双方の認識が大きく異なった状態が解消されないままであることは、好ましくないと考えます。 新潟県高体連・専門部と中越高等学校におかれましては、それぞれが認識している内容について確認し合い、双方が、さらには当該競技会に関わられた方々が、共通した認識を持つことができるよう進んでいただくことが望まれます。」という回答をいただいた。本校が伝えたい事は御理解していただけたと認識している。
12月12日付
12月6日の県高体連事務局様からの回答を受けて、新たな要望を発出。
「本校調査に誤りがあればご指摘ください。新潟県高体連会長として、大会運営、その後の調査方法、調査結果が適切と考えるのであれば、根拠をお示しください。」という内容を記した。
12月14日
県高体連様より回答を受領。「専門部の調査、再調査を受けて回答しました。その調査結果が不十分であるという認識はありません。」との内容であった。
中越高等学校としては、大会終了後から11月23日まで継続して調査を実施してきた。その調査結果の内容は新潟県高体連及び同陸上競技専門部の回答に記された内容と多くの点で相違があったため、本校としては事実の相違については明確にしたいという考えのもと、県高体連への訪問を申し入れ、再度の再調査を要望し、県高体連会長としての見解と対応を要望したが、現在に至るまで納得のいく対応を得ることはできなかった。
2.事実の相違について
①回答には「積極的誘導はせず、不測の事態が生じた場合に誘導をおこなうものとすることを確認している。」という文言があるが、聞き取りを行った問題箇所の競技役員6名はいずれも「不測の事態が生じた場合には誘導を行う。」という申し合わせはなかったこと、少なくとも「誘導や声かけは行えない。」という統一認識をもっていたことを確認している。
②回答には「周回遅れの選手と先頭チームが交錯する場面があり、接触回避や安全確保を優先し、異なるコースに向かった。」と記されているが、交錯するような位置に周回遅れの選手はいなかったという証言があった。交錯を避けるためであったとしても先導の動きは先頭チームへの配慮はなく、コースミスを誘発する不適切な動きであった。また、当該先導員への聞き取りでは自身でもコースを間違ってしまったと答えている。問題箇所に居合わせた複数の競技役員も、当該先導員が選手の先導をする認識のもと任務にあたり、コース間違いの後での「コースを間違ってしまった!」というその発言とその行動を目撃したことを確認している。
③回答には「トランシーバー係2名と走路員2名が大きな声で間違っていることを伝え」と記されているが、当該選手、複数の当該競技役員、現場に居合わせた生徒や一般の方々からの聞き取りや本校に寄せられた情報からはこのような事実は確認されなかった。現場の当該競技役員の顧問たちは、誘導や声かけはできないという認識を持っていたが、結果として一貫性のない誘導や声かけがあったことを確認している。
④回答には「第4区先頭から誘導を行った。第3区の走者に対する誘導は行っておらず、不平等にはあたらない。」という文言があるが、第3区の本校選手の後続から誘導が行われたという証言があり、一貫性が保たれていない大会運営であったことが示唆される。
⑤運営上の問題が生じているにもかかわらず、顧問への説明がないままに競技を成立させたことに関しては、複数の関係者が不適切な対応であったことを指摘している。
その他
・その場に居合わせた多くの当事者や関係者に聞き取りを行った本校の調査に対して、県高体連陸上競技専門部委員長の調査は限られたわずかな競技役員を対象としていた。
・調査、聞き取りをする中で競技会に携わった様々な学校の顧問や競技役員、関係者、生徒たちがこの件に関して明らかな問題意識を持っていることがわかった。
これらの本校による調査結果については、中越高校からも県高体連様に説明し、事実と異なる点があればご指摘くださいと要望したが、「専門部の調査結果が不十分であるという認識はありません。」との回答を受けた。
3.本校の見解
県高体連は、次年度の大会運営に向けて、課題を整理し、工夫・改善に努めるように陸上競技専門部に指示を行っています。過日の陸上競技専門部全県顧問会議でその「高校駅伝における課題の検討状況について」という文書が示されましたが、その検討はこの件の再発防止策に他ならない大がかりな内容でありました。来年度に向けて課題を検討し、工夫・改善に向かっていくことは本校としても有り難い対応ではありますが、問題を問題として認めない中での課題検討は本当の意味での課題解決とは言えないと考えます。
県高体連の活動や取り組みには本校も大変感謝しており、加盟校として参加、協力させていただいておりますが、今回の新潟県高等学校駅伝競走大会における問題への対応という点に関しては、誠に遺憾です。
誤誘導等に関しては過去の世界大会等の事例から競技結果が覆らないことは承知していましたが、今大会における誘導の非一貫性や競技成立に至る過程の不適切な対応等を鑑み、また今大会は全国大会の予選を兼ねているために問題をそのままにしてはならないことやこれまで努力してきた生徒や保護者の心情等を考慮し、これまで抗議をしてきました。この「抗議」は「競技規則上の抗議」に限るものではなく、今大会の運営に関する抗議でありました。
これまでの本校の抗議行動は、生徒および関係者の為に問題を明らかにしたいという思いからの行動であり、後悔はありません。しかしながら、現在に至るまで主張は平行線に終わってしまい、無念さを感じざるを得ません。
11月17日のホームページ掲出以降、12月14日の県高体連回答後まで、本校では粘り強く抗議や調査、対応の検討を継続しておりましたが、我々にできることはここまでで全てやり尽くしたと考えています。事態解決に至らなかったことは誠に残念でありますが、この総括をもってこの件の区切りとしたいと考えています。
我々の救いは、選手たち自身に悲壮感がなく、現在も前向きに活動に励んでいること、また、北信越高等学校駅伝競走大会という機会で自分たちの力を出し切り、生徒たち自身が納得のいく成果を上げることができたことです。選手を支えていただいた皆様や北信越大会の関係の皆様に感謝申し上げます。
一方で、何が起こるかわからないのが駅伝という競技であり、その中で自分の力を出し切ることが求められることもまた駅伝です。このたびの県高校駅伝ではトラブルによって自分たちの力を出し切れなくなった弱さが自分たちにあり、自分たちに本当の強さというものがあればまた違った駅伝ができたのではないかと思います。今後はその本当の強さというものを追い求めていき、全国大会で優勝や入賞争いができる競技力と、強い人間力の向上を目指していきます。
4.今回の件に関連して
このたびの件に関して、身近な方々から全国の方々まで本当に多くの皆様より励ましの言葉を頂きました。この約2か月間、これらの言葉がどれだけ我々の支えになったか図り知れません。心から感謝申し上げます。
一方で、多方面にご迷惑とご心配をお掛けする事態となってしまいました。そのような事態が生じたことを大変申し訳なく思っておりますが、我々の抗議は大会の運営に対するものであったことをどうかご理解いただきたいと存じます。
本校としては、この件に関わりのあるすべての個人・すべての団体に対する誹謗中傷や迷惑行為は、どのような方法であっても絶対にあってはならない事であると考えています。
5.終わりに
現在、本校陸上競技部の生徒たちは、次の目的・目標の達成を目指して前向きに活動に取り組んでいます。どうかこれからも応援していただきますようお願いいたします。
なお、この「総括」のホームページへの掲出は、関係者への影響や混乱を避けるため、全国高等学校駅伝競走大会の本大会を終えてからとさせていただきました。事の成り行きを気にされていた方も多かったと思いますが、どうかお許しいただきたく存じます。
生徒のために救済措置を得ることはできませんでした。事実の相違についても確認することは叶いませんでした。しかし、いつまでもこの件を続けることは、我々にとっても生徒にとっても良いことではないと考え、この総括を持って、抗議を終了し、前を向いて教育活動、次の目標に向かってまいります。
令和4年12月27日