はぎの通信 No.3(「積極的に見る」こと)
はぎの通信 No.3 (R5、2.1)
中越高等学校長 萩野 俊哉(はぎの・しゅんや)
「積極的に見る」こと(Open Your “Mind” Eyes!)
今年は大雪。大変ですね。でも、文句を言っても始まりません。雪国で暮らす私たちの宿命です。でも、そのことがきっと私たちをいろいろな意味で「強く」そして「勁(つよ)く」してくれるのだと思います。
3年生の皆さん、大学入学共通テストご苦労様。皆さんの頑張りの結果を見て、とてもうれしく思っています。あともう一息。健康に気をつけて頑張りましょう。前を見て、自信を持って進みましょう。そして、3年生の最後の定期考査も終了します。いよいよ、卒業までの最後の仕上げです。しっかりやりましょう。
さて、「今の若い人たちはのんびりしている人が多くて、それはこの国が平和な証拠なんでしょうけれども、彼らにとっては、積極的に見ようとしなければ見ないですんじゃうんだなということがわかったのです。でも、そのまま生活してそのまま大人になって、そのまま親になって、そのまま死んじゃうなんてもったいない。」-これは、かつて歌手・タレント・評論家と多彩な顔を持ち活躍したアグネス・チャンさんの言葉です。彼女は香港と日本で歌手として活躍し、その後、日米の三つの大学で学んで博士課程を修了しました。その後、子育てを続けながらいろいろな社会活動をし、大学講師を勤め、何冊かの本も著しています。上記の言葉は、まさにそのような彼女の人生観がにじみ出た意見といえるでしょう。
「積極的に見る」とはどういうことでしょう。それには、次の三つの要素があると思います。ひとつは、与えられた機会や依頼された仕事を、それが少々しんどいと感じても、思い切って自分のものにすること。「どうせ私にはできっこない」「めんどくさい」と切り捨てるのと、「何としてもやってやる」と思うのとでは、世界の広がりは天と地ほど違ってきます。たとえうまくいかなくても、やろうとした事実がそれからの歩み方にどれほど大きな推進力を与えてくれることか。
二つ目は、人も目を気にせず、自分が正しいと思うことや自分に必要と思うことを臆せずにやりぬくことです。これは、集団主義と他律主義の傾向が強い日本では難しいことか
もしれません。しかし、決して出しゃばったり目立つためでなく、自分にとって一番いいと思うことを勇気を出して行うことにより、よりエキサイティングな日々が送れるようになると思います。いつも臆病に他人を気にして生きていては、感動も後悔もないつまらない毎日になるのではないでしょうか。
最後は、人や物事をいろいろな角度から見て、表面の奥に隠れている多くのものへの関心を持つということだと思います。たとえば、ある人が無口で内気な印象でも、その人の言動の端々から、その人の他の側面や持ち味を探ってみれば、新たな発見はたくさんあることだろうと思います。人も物事も、そんなに単純には出来上がってはいないのだと私は思います。
いろいろなことに興味を伸ばして、果敢に挑戦してみることが大事です。自分の能力を見限ってはいけません。他人の目で生きるのは愚かです。「積極的に見る」ことで見えなかったものが見えてきます。自分自身と自分の様々な可能性が見えて、自信を芽生えさせてくれます。
「みんなの目」という、鱗がたくさんついている殻、自分が内側から塗り固めてきた殻を打ち破ってみようではありませんか。皆さんの世界はまだまだそんな殻の中だけではないはずです。そして、皆さんのしなやかな心の槍をもってすれば、そんな殻などは簡単に突き破ることができるはずだと私は信じているのです。
以上