はぎの通信 No.21(勇気は恐怖と伴にある)
はぎの通信 No.21 (R5. 4.26)
中越高等学校長 萩野 俊哉(はぎの・しゅんや)
「勇気は恐怖と伴にある」(Courage goes with fear.)
「はぎの通信」No. 13(4月3日付け)の中で、先月引退した元世界ボクシング協会(WBA)ミドル級スーパー王者で、2012年ロンドン五輪金メダリストの村田諒太選手の言葉をひとつ紹介しました。桜の花になぞらえて、きれいな「花」を咲かせるのは、目立たぬ幹と根があるからである、というお話をしました。
今日は、彼、村田選手の言葉で、もうひとつ私の心に刺さっている言葉を紹介します。それは標記のタイトルの言葉です。
「勇気は恐怖と伴にある。」
日頃、真剣に部活動等に励んでいる君たちならわかると思います。勇気を振り絞って何かに当たっていこうとするとき、そこには必ず恐怖も伴います。大げさに言えば、「もしかして自分は殺されるんじゃないだろうか」という恐怖です。
私の息子は、高校生時代、某高等学校でラグビー部に入っていました。県の選抜選手に選ばれて、他県の選手と渡り合わなければならないとき、たとえば、向こうから全速力で突っ込んでくる相手選手を、何とかタックルで倒して勢いを止めなければならない。そのための練習を日々積み重ねていたある日、私が何気なく「がんばって、しっかり止めろよ」と言ったら、いつもは無口な彼はすかさず私に言いました。「簡単に言うなよ、おやじ。オレはいつもマジで死ぬ気で相手にぶつかっていくんだ。体重が100キロを超える巨体が本気でこっちに向かって突っ込んでくる。怖くてしょうがねえよ。でも、やるしかねえんだよ!」...
ハッとしました。私は何と甘っちょろい言葉を息子に投げつけてしまったんだろう。言った私は実際にそんなことができるのか!反省しました。そして、それ以来、少し息子を見る目が変わりました。
「勇気は恐怖と伴にある。」真の勇者は、恐怖に勝たなければなりません。それは決して簡単なことではありません。でも、勝つためには、やらなければならないのです。
以上