はぎの通信 No.89(行動すること)
はぎの通信 No. 89 (R6. 9.17)
中越高等学校長 萩野 俊哉(はぎの・しゅんや)
行動すること(Taking action)
先日、ある新聞を読んでいて印象に残る記事に出会いました。それは、車いすで世界175カ国を旅して、2年前の夏、くも膜下出血で49歳でこの世を去った木島英登(ひでとう)さんに関する記事でした。彼は高校生の時、ラグビーをしていて脊髄を損傷し、下半身不随になりましたが、その後も何にでも挑戦してきたそうです。
そんな彼が生前したためていた原稿が、彼の死後、友人たちの努力によって1冊の本としてこの夏、出版されました。書名は『幸せとは何か? 最適な人生の見つけた方 空飛ぶ車いすからのメッセージ』(神戸大学出版会)。その本の中に、Happy(幸せ)の語源とは何かというお話があるそうです。木島さんによると、その答えはHappen(偶然に起こる)。何かが偶然に起こるためには、まず行動しなければなりません。だから、行動しないと幸せはこない。自ら動いて未知なものとの出会いを生み出していこう。それが自らを幸せにする方法なのだ。... このようなメッセージを私たちに伝えているのだと思います。
私の中にもある「信念」みたいなものがあって、それは「動けば必ずそこに出会いがあって、その出会いは必ず自分を成長させてくれたり、自分の人生を豊かなものにしてくれる」というものです。もちろん、その「出会い」というのは、いいことばかりではありませんでした。嫌なこと、つらいこと、悲しいこと、切ないこと、... これらもたくさんありました。でも、そういったことも全部いっしょに溶かし込んで丸ごと受け入れて、今日まで生きてきました。
その新聞記事によると、前述の木島さんのお書きになった書籍の中に、次のようなことばがあるそうです。
「他人の承認欲求を笑う人は、笑われるのが怖くて自分を表現できなくなる」
「行動し続ける限り、失敗しても『後退』じゃない。『後退』は何もしない時に起きる」
以上