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2025.02.03 校長ブログ

はぎの通信 No.108(心にゆとりを持ちましょう)

 

はぎの通信 No. 108 (R7. 2.3)

 

中越高等学校長 萩野 俊哉(はぎの・しゅんや)

 

心にゆとりを持ちましょう(Why don’t you appreciate the beauty of nature?)

 

 18世紀から19世紀にかけて活躍した英国の詩人William Wordsworth(ウィリアム・ワーズワス、1770 – 1850)に次の「The Rainbow(虹)」と題された詩があります。

 

  My heart leaps up when I behold  

  A rainbow in the sky:

  So was it when my life began、

  So is it now I am a man、

  So be it when I shall grow old

    Or let me die!

  The Child is father of the Man:

  And I could wish my days to be

  Bound each to each by natural piety.

 

 

 「虹(rainbow)」は「自然(nature)」の象徴としてここでは捉えられています。たとえ大人の自然(虹)との関わりが屈折したものであっても、幼児のそれの延長線上にあることを、作者は感謝しています。そして、natural pietyという表現が含意しているように、自然というものを彼はほとんど「聖なるもの」としてとらえ、それに対し愛情を込めながら畏敬の念を払っています。浪漫派を代表する自然詩人であるWordsworthらしい詩の一編だと思います。

 

 皆さんは最近自分の身の回りの「自然」を味わっていますか。今、季節は冬。曇天の中、あるいは雪の降りしきる中、灰色と鈍色の世界が毎日目に入ってきます。雪国に暮らす人間の宿命とも言っていい景色と空気感です。そんな中、日々勉強や部活に忙しく、また、いろいろなことで心が傷つき、悩みも多い青春期。外を歩くときはついつい背中が丸まり、下をうつむいたままでトボトボと歩きがち。そんな人が多いのではないでしょうか。...何ともったいない!ちょっとだけ心に余裕を持ちましょう。丸まった背中をまっすぐに伸ばし、顔を上げてごらんなさい。そして、どんなことでもいい、ちょっとしたことでいい、自分をとりまく自然の美しさ、神秘さ、そして感動を味わってみたらいかがでしょうか。

 

 たとえば、先日の休日に私はちょっとした晴れ間を縫って散歩に出かけました。ふっと目を挙げると、遠く八方台(はっぽうだい・長岡にある小さな山です)がきれいに真っ白な雪をかぶって、まぶしく輝いていました。いつもの距離感よりずっと近くに感じられて、すぐ目の前に八方台が広がっているような感覚になりました。その景色はある意味誠に神々しく神秘的であり、一瞬すべての思考が吹き飛んで、ただただ呆然と立ちすくんでいました。自然との関わりは、何もそのような感動的なものばかりとは限りません。狭い自宅の部屋の中にある観葉植物の、たとえばその頼りなげな薄緑色の幼葉の中にも、たくましい生命の息吹が感じられるとき、私はある種の感動を味わいます。

 

 喜び、哀しみ、怒り、悩み、葛藤...いろいろあります。しかし、心のどこか片隅にでも常に「余裕」や「ゆとり」を持っていたい。その余裕やゆとりが、きっと私たちの人生をより豊なものにしてくれると思うのです。そして、そのひとつの具体的な現れが、今日ここで述べた「自然との関わり」である。そんなふうに思います。

 

以上