はぎの通信 No.111(夢で終わらせてはいけない!)
はぎの通信 No. 111 (R7. 2.25)
中越高等学校長 萩野 俊哉(はぎの・しゅんや)
夢で終わらせてはいけない!(Don’t make it just a dream!)
きっと皆さんの中には真剣に自分の将来のことについて考えている人が大勢いることでしょう。たとえば、将来就きたい職業について。-医師、弁護士、検察官、裁判官、教師、保育士、看護士、獣医、警察官、公務員、プロ野球選手、プロサッカー選手、...etc. etc.― たくさんあります。そして、なぜその職業に就きたいのかという理由も、それぞれ自分なりにしっかりともっていることでしょう。
さて、自分の将来や未来のことについて思い描くとき、卒業後は日本の大学に進学せず、海外の大学に正規の学生として入学したいという人もいることでしょう。かつて私の出会った生徒たちの中には、正直、たとえば日本の大学に入るための「競争」に耐える自信がなく、いわばその厳しさから逃れるための選択肢として海外留学を望んだ人たちも実際いました。しかし、長期海外留学を志す私の出会った生徒たちの多くは、本当にみな真剣に考えて、自分のやりたいことや夢がしっかりと心の中にある人たちばかりでした。
海外留学云々に関わらず、要はそのような、「夢」のある人へ。「志」のある人へ。さて、その「願い」や「希望」をどのようにして現実のものとしましょうか。そう、口でいうのは簡単ですよね。たとえば、「有用な情報を広く入手し、その上でさまざまな人たちと相談しながらより具体的な目標を適時設定して、その達成へ向けてひたすら努力する」などと...ね。みんな頭ではわかっているのです。問題は、「実践・実行すること」です。そう、それもわかっているはず。でも、できない。なぜでしょう。
ひとつには、「先生、どのようにしたらその『実践・実行』ができるのでしょうか」と質問する人がいます。「甘えるな」と言いたい。一体だれの人生なのか。人生は試行錯誤です。失敗しながら、そして、ムリやムダを繰り返しながら何かを学び取り、何かを身につけて成長していくのだと思います。親や先生が、失敗のない、ムリもムダもない、楽して必ず成功へとつながるレールをすべて最初から最後まで敷いてくれるとでも思っているのでしょうか。
また、このようなことを言うのはまことにつらいことですが、正直、努力だけでは夢の実現は難しい場合もあるでしょう。それがある意味では「現実」です。しかし、「それがどうした」と私は言いたい。「自分には才能がないのだ。だから何をどうやってもダメなのだ」と思うことほど愚かなことはありません。「挑戦し続けること」、そこにこそ人生の意義があるのではないでしょうか。到達しようと掲げた目標よりも、そこに達するまでの過程で意外な大発見があったり、最初の目標からはずれた中で大発見のチャンスがあったりするのはよくあることです。しかし、そのような幸運ともいえる新発見も、たゆまざる努力や熱意と共に、客観的で冷静なものの見方がないと、つい見過ごされてしまいます。
「夢」の実現というのは、ある意味「結果」だと思います。皆さんの目指す「夢」の実現のために、あらかじめ用意されている「方程式」や「レール」などはありません。何でもかんでもお手軽にマニュアル化されている現代の社会にあって、物事を深く考えようとせず、ただ「こうすればこうなる」式の安直な生き方に慣れ切っていませんか。「これとこれとこれをやれば、必ず夢がかなう」。それはウソです。「夢」というのはそんな安っぽいものではありません。だって、そのようにしてかなえた「夢」を手に入れた後、あなたはどうするのですか。
「夢」をかなえるための過程を大切にし、楽しみましょう。そしてもうひとつ。無理をしないこと。勉強がある。宿題が出る。部活もある。塾もある。習い事もある。趣味もある。友達とも遊びたい。等々。すべてを完璧にこなすこと、あなたはできるのですか。 1日は24時間しかありません。「今は何にプライオリティー(priority: 優先権)を置いて過ごさなくてはいけないのか」をよく見きわめて行動するようにしましょう。さあ、心してがんばってください。
以上